2004年度 大気水圏科学実習

• 基礎概念の勉強
• ラジオゾンデ観測
• データ解析実習

• コンピュータを使わない
• グラフは手で書く
• 計算は手でやる
• データは自分で取る

第1回 (勉強および予備実験)

• 日時
  • 9月1日(水):
  • 09:00〜17:00
• 場所
  • 大気水圏科学研究室セミナー室 (自然科学総合研究棟3号館507号室)
• 目的
  • 気象の基本物理量:
    • 熱力学的量（気圧, 密度, 温度）
    • 動力学的量（風向, 風速）
    の鉛直分布がどのように決まるかを自分の手と頭を動かして理解する.
• 内容
  • 基礎概念の勉強
    • 大気の運動を支配する基礎方程式（運動方程式，連続の式，状態方程式，熱力学的エネルギー方程式）
    • 静水圧平衡
    • 静的鉛直安定性
      • 乾燥断熱減率
      • (湿潤断熱減率)(余力があれば！)
    • 地衡風, 温度風
    • 気圧座標系
  • 現実を知る: ラジオゾンデデータの作図(昨年度のデータ)
  • ラジオゾンデ観測の原理を学ぶ
• 予習
  • 以下の2つの基礎概念について予習しておくこと.
  • 大気の運動を支配する基礎方程式系
  • 静水圧(静力学)平衡
  • 大気の(静的)鉛直安定性 　　　
  　　
• 実習
  • 午前：演習問題を黒板で解いて解説をする．
  • 午後(1)：簡単なデータ解析（昨年度の180秒おきの観測データを用いて）
    1. 測高公式を用いて気温，気圧のデータから高度を計算する．
    2. 気温の鉛直プロファイルの作図する．
    3. 気圧の鉛直プロファイルの作図する．
  • 午後(2):ラジオゾンデ放球の手順の解説
• 参考文献
  • 一般気象学, 第2版, 小倉義光 著, 東京大学出版会
  • 気象力学通論, 小倉義光 著, 東京大学出版会
  • 基礎気象学, 浅井冨雄・新田尚・松野太郎 著, 朝倉書店
  • An Introduction to Dynamic Meteorology, 4th Ed. James R. Holton 著, Academic Press
  • An Introduction to Atmospheric Physics, David G. Andrews 著, Cambridge University Press
  • その他, 多くの気象学入門書で, 上記の2つの基礎概念は解説されている.
  • 大気水圏科学研究室所有の上記図書は自由に閲覧して良い. 閲覧を希望する場合は, あらかじめ iwayama@kobe-u.ac.jp まで連絡のこと.
• 持って来るもの
  • 筆記用具
  • 関数電卓
  • グラフ用紙（方眼）
  • スリッパ (部屋は土足厳禁です)

第2回 (ラジオゾンデ観測)

• 日時: 2004年9月2日(木)
• スケジュール
  • 09:00〜10:00 打ち合せ
  • 10:00〜12:00 1発目放球準備
  • 12:00 1発目放球
  • 13:30 1発目終了
  • 12:30〜13:30 昼食
  • 13:30〜15:00 2発目放球準備
  • 15:00 2発目放球
  • 16:30 2発目終了
  • 16:30〜17:00 片付け
  • 17:00 解散
• 必要なもの:
  • ラジオゾンデ, パラシュート, バルーン, 受信機一式, ヘリウムガス, 減圧弁, ホース, 浮力錘, はかり, レンチ(大), 凧糸, はさみ, 気圧計, 温度計, 湿度計, 風速計, シール (「危険物ではありません」), データ保存用メディア, 観測記録用紙, 筆記用具, グラフ用紙, テープ類
• 準備・観測手順, 役割分担
  1. 必要なものを揃える. ラジオゾンデ, バルーン, パラシュート, はさみ, 観測記録用紙. 記録用紙に記入開始.
  2. 電池を作る(水につけて4分)
  3. パソコン, 観測ソフトを起動. 各種情報を入力(対話的).
  4. キャリブレーション.
  5. GPSの個数を確認.
  6. バルーンにヘリウムガスを充填. (200 g バルーンの場合, 1.4 kg のおもりとつりあわせる)
  7. バルーン, パラシュート, ラジオゾンデを接続.
  8. 放球.
  9. 地上観測値の入力. データ, 受信状況のモニター.
  10. データをグラフ用紙にプロット.
  11. 終了処理. データ保存.
• 取得データ
  • 1回目: 2004年09月2日 12:00 (JST) 放球
    • 気圧・温度・湿度・風向・風速・その他: 2秒間隔(ascii), 180秒間隔(ascii)
  • 2回目: 2004年09月2日 15:00 (JST) 放球
    • 気圧・温度・湿度・風向・風速・その他: 2秒間隔(ascii), 180秒間隔(ascii)
• 参考資料 　　　
  • 速報天気図（2日03時, 03時, 06時, 09時, 12時, 15時, 18時, 21時） 　　　
  • アジア地上解析天気図（2日 03時, 09時, 15時, 21時）
  • アジア太平洋200hPa高度・気温・風・圏界面高図（2日 09時, 21時）
  • アジア500hPa・300hPa天気図（2日 09時, 21時）
  • アジア850hPa・700hPa天気図（2日 09時, 21時）
  • 高層断面図（2日 09時, 21時）

第3回 (データ解析実習)

• 日時: 2004年9月3日(金)
• 内容:
  • 午前(1)：演習問題の残り（気圧座標系，地衡風，温度風に関する問題） 　　　
  • 午前(2)：エマグラム，露点温度の説明
  • 午後：エマグラムを用いた
    • 静的鉛直安定性の吟味
    • 対流発生可能性の吟味
• レポート (提出〆切: 9月30日(木))
  1. エマグラムの演習問題(2003年度大学院入試問題(p.41), 2003年度大学院入試問題(p.42))
  2. 風の鉛直構造についての演習問題:(2004年度大学院入試問題(p.37), 2004年度大学院入試問題(p.38))
  3. 今回取得した観測データの吟味（天気図などの参考資料を用いて）
  4. 実習の感想など