エアロゾルの採取
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  エアロゾルの化学成分、形、大きさ、湿度特性などを調べるためエアロゾルの採取(サンプリング)を行っています。採取したエアロゾルのサンプルはイオンクロマトグラフィーや電子顕微鏡で分析を行います。
  サンプリング方法は2種類でインパクターサンプリングとフィルターサンプリングです。インパクターで採集したサンプルは電子顕微鏡で分析します。フィルターサンプリングで採集したものはイオンクロマトグラフィーで分析を行います。

慣性インパクターの構造

 インパクターとは、慣性衝突を利用してエアロゾルを採取する装置です。わかりやすくいうと次のようになります。
 空気の流れに乗ってまっすぐ進んでいる粒子があります。その流れを曲げると、勢いがついた粒子は曲がりきれずに流れから外れてしまいます。この勢いは大きな粒子ほど大きくなります。これが慣性力といわれ、これを利用したものがインパクターです。まっすぐな流れに対して垂直に捕集板を置いておくと勢いあまった粒子が衝突します。そのようにして捕らえた粒子を電子顕微鏡などでいろいろと調べます。
 吸引する空気の流量やノズルの直径を換えることで捕集できるエアロゾルの大きさを調整することができます。



 捕集できるエアロゾルの大きさは次の式を使って計算されています。これは捕集効率が50%となるエアロゾルの大きさを求める式です。この大きさをカットオフ径と呼んでいます。




カスケードインパクター

 カスケードインパクターとは慣性インパクターを直列に多数連ねたものです。このインパクターは下のステージほどカットオフ径は小さくなっているため、上から大きな粒子を順に捕集していきます。
 私たちはPIXE International製 ModelT−1Lというカスケードインパクターを使っています。
 吸引する空気の流量やノズルの直径を換えることで捕集できるエアロゾルの大きさを調整することができます。


カスケードインパクターの外観カスケードインパクターの内部構造


フィルターサンプリング

 図は地上付近の粒子を採取するためのサンプリング装置です。2つのフォルダーにそれぞれフィルターを装着させてあります。ポンプによって空気を吸引させることによってフィルターに粒子を付着させます。矢印は、空気の流れを表しています。吸引される空気の流量は、10L/minと設定しニードルバルブ(流量調節ノズル)を用いて維持するようにしています。バッファーはポンプによって流れる空気の波を緩衝する役割があり、これがない場合、緩衝せず流量計の値が安定しません。
 観測で用いているフィルターは、前段に孔径8.0μmのポリカーボネートタイプメンブランフィルター、後段に孔径0.5μmのPTFEタイプメンブランフィルターです。前段フィルターの捕獲能力は、約2.0μmの粒径が50%とされているので、2.0μm以上の粗大粒子が前段フィルターで採取されます。