光散乱粒子数測定器
光散乱粒子計数装置(OPC)は、光散乱により粒径や粒子数濃度を測定する装置です。まず、エアロゾルを含む一定流量の試料空気を試料吸引口から吸引し、安定化された光源による照射領域を通過させます。この時個々のエアロゾルによって散乱される光を集光し、フォトダイオードで検出し電気パルス信号に変換します。照射されたレーザー光は集光させることで、焦点を結びエネルギー密度を高くし、さらに高濃度でも測定できるように配慮されています。また、チャンバー内の汚れを防ぎ、かつエアロゾルの流れを乱さないために試料空気はシースエアー(sheath air:エアロゾルを含まない清浄空気)で包んで、照射領域にエアロゾルを含んだ試料空気を吸引する構造になっています。
パルス信号の波高値は散乱光量に比例し、また散乱光量とエアロゾル直径とが一定の関係にあります。つまり、パルス波高値より粒径を求めることができます。このパルス波高値と粒径の応答特性は、個々の粒子を球形と仮定し球形粒子に対するMieの散乱理論を用いて計算されます。ただし、求められる粒径は粒子を球形と仮定したものであるため、測定された粒子が非球形であっても球形粒子相当径として表されます。さらに、OPCの校正には標準粒子であるポリエチレンラテックス(Polystyrene Latex:PSL)球形粒子の屈折率(=1.59)を採用しているために、パルス波高値より求められる粒径は、PSL粒子に対する光学的等価粒径として表されます。OPCを用いた粒子数濃度の測定は、測定対象の光学的等価粒径のパルス波高値を敷居値として粒径の選別を行い、選別された電気パルス信号の一定時間内の数より各粒径チャンネルの総粒子数濃度を求めています。これをもとに、粒径分布を求めることができます。
気球観測用前方散乱型OPC
気球観測に使用しているOPC(Optical Particle Counter)は、光源に半導体レーザー(λ=780 or 810nm)を用いたものです。図にOPCの光学系、表にOPCの概要を示しています。OPCは、大気を光学チャンバーにとりこみレーザー光をあてます。光軸交角0°の光学系を使用しており、集光角は13°から44°です。流量は毎分3リットル、計測している粒子の大きさは直径が0.3μm以上、0.5μm以上、0.8μm以上、1.2μm以上、3.6μm以上の5チャンネルです。
光源 | 半導体レーザー 波長780 or 810nm |
光軸交角 | 0° |
集光角 | 13°〜44° |
検出素子 | フォトダイオード |
ポンプ | ギアーポンプ |
サンプリング流量 | 3毎秒リッター |
粒径区分 | 直径0.3μm以上、0.5μm以上、0.8μm以上、1.2μm以上、3.6μm以上 |
計数分解能 | 20秒 |
重量 | 4kg(バッテリーを含む) |
マルチアングルカウンター
マルチアングルカウンターとはOPCの一種で、光源に半導体レーザー(λ=780)を使い、90°と60°の2箇所に集光レンズを配置したものです。下の図にこのOPCの光学系、表に概要を示しています。
流量は毎分0.5リッター、計測している粒子の大きさは直径が0.3μm以上、0.5μm以上、1.0μm以上、2.0μm以上、5.0μm以上の5チャンネルです。
主に無人飛行機に搭載し観測を行っています。
光源 | 半導体レーザー 波長780 出力70mW |
光軸交角 | 60°、90° |
集光角 | 43° |
検出素子 | フォトダイオード |
サンプリング流量 | 0.5毎分リッター |
粒径区分 | 直径0.3μm以上、0.5μm以上、1.0μm以上、2.0μm以上、5.0μm以上 |
積算時間 | 4秒 |
重量 | 3kg(バッテリーを含む) |
ハンドルヘルドパーティクルカウンター
KR−12A:リオン株式会社
光源:レーザーダイオード(波長780nm)
粒径区分:0.3,0.5,0.7,1.0,2.0,5.0マイクロメーター
大きさ・重さ:251(H)x116(W)x65(D)mm(最大寸法)・約1kg