気 球
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 エアロゾルは地球の大気中で広範囲に存在します。およそ10kmから15km以上の成層圏にもエアロゾルは存在します。そのような高いところのエアロゾルを測定するため私たちは気球を使っています。気球に測定機器をつるしそれを空へ飛ばします。高さ30kmくらいまで揚がります。人間は乗ることができません。

  気球はエアロゾルを測定するためだけでなく他の測定にも使われています。最もなじみの深いのが、気圧、気温、湿度、風速風向を測定するための気象用ゾンデです。これは全国十数か所で気象庁によって毎日決まった時間に上げられています。そのほかにもオゾンを測るためのオゾンゾンデなどがあります。ゾンデという言葉はドイツ語から来たもので気球につるす測定器をさしてそう呼んでいます。
 気球の材質はゴムとプラスチックがあります。いずれもガス気球です。ガスの種類はヘリウムと水素があり、私たちは安全面からヘリウムガスを使用しています。

 気球につるされた機器から計測データーが電波に乗って送られてきます。それを地上で受信します。またGPSによって気球の位置がわかります。気球の位置から風速を計算します。


福岡での観測

 福岡大学の9号館屋上で光学式粒子数計測器をつるした気球を上げました。
 この観測の目的は、中緯度帯においてQBOやプラネタリー波による成層圏エアロゾルの変化を調べるためです。


福岡大学9号館屋上(33.53°N 13.30°E)より放球 エアロゾルの粒径別の粒子数


ノルウェーでの気球を準備する様子。

作業工程
1ゴム気球を灯油に浸す。
2灯油が乾くのを待つ。
3気球につるす計測器の準備をする。
4気球の浮力を見ながらガスを入れる。多すぎても少なすぎてもだめ。
5計測器を気球につるす。
6タイミングを見て放つ。

室内でゴム気球を灯油に浸す作業の様子 気球を乾かしている様子 気球にガスを入れている様子
気球に吊るす測定機器 機器を密閉する作業

インドネシアでの放球直前の様子

 気球を上げる日は、誰が呼んだのか、たくさんの人が駆けつけて来ました。
 こんなにたくさんの人は必要ないのですが、みんなで協力して気球を上げました。
 気球は無事に成層圏まで上がって行きました。



係留気球

 係留気球とはアドバルーンに測定機器を付けたようなものです。
 気球からたらされているロープで地上に縛り付けられているので回収ができます。
 ある一定の高さの空気を比較的長い時間測定できます。


 右の写真はカイトタイプの係留気球です。これをカイトバルーンと呼んでいます。
 凧のように風に乗ってあがっていきます。