(1) 細胞運命の調節

 アフリカツメガエルでは、景浦らのこれまでの研究(1983,1984,1986,1987,1995)により、完全な幼生へと発生可能な割球の組成および方向性が明らかになっています。一方、1980年代に集中的に行われた細胞追跡実験は、卵割期割球の運命を非常に詳しく明らかにしました。

 

        割球の運命追跡実験の一例

 では、色々な割球を欠損させても完全な幼生に発生できるとき、残された割球の運命は正常胚と比べるとどうなのでしょうか?失われた割球は、正常胚では本来の発生運命を持っています。これを欠損させたときにも完全な幼生が生じるのであれば、失われた割球の持つ予定運命は残された他の割球が補っているはずです。さらに、運命を変更した割球の持つ本来の運命はどの割球が担うのでしょうか?これらの疑問には、これまでのところ非常に限られた答えしかありません(古賀、1999など)。現在、完全な幼生が生じる必要最低限の割球組成を持つ胚で、予定運命がどのように変更されているのかについて調査を行っています。

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