社会性昆虫の行動と脳構造のカースト多形

春には、クロオオアリの巣穴に雌雄の翅アリが出現します。

クロオオアリ脳の立体構築図

働きアリは、コロニー内では幼虫などの世話、餌の採集、外敵からの防御などの役割を果たし、その行動は非常に多様です。しかも飛ぶことはなく、地面と巣穴の中を動き回るため、触角からの感覚情報に大きく依存していると考えられます。雌アリは交尾後、巣穴を造り、産卵、幼虫の世話など、初期は働きアリに近い行動をしますが、働きアリが生まれてくると、女王アリとして産卵に専念するようになります。雄アリはほとんど生殖のためだけに交尾期の短い期間に出現します。このようなカーストによる行動特異性が、それぞれの脳構造に現れています。