ALASKA 通信            OPCゾンデ観測

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from 林 政彦@Fairbanks

 黄砂は、はるばる、アラスカにもやってきます。GI/UAF(Prof. Ken Sassen)のページにデータが

 南東アラスカのWrangel Mountainsdustの飛来を観測した例もあります。

 黄砂の観測をして、日本の上空の粒径分布などと比較してみようとOPCゾンデ観測を急遽計画。NCARPACDEXという飛行機観測計画にGIKen Sassenが絡んでいるので航空機、ライダーとの同時比較観測をしてみよう、というのが狙いです。

 さてさて、どうなりますか?

 あわせて、OPCゾンデについていろいろ気になっていたことがあり、それを自分で作業しながら確認、修正していくことも(日本ではなかなか時間がなくてできない)観測準備に含めて実施することとした。

 

2OPCゾンデおよび受信装置一式が日本より届く。白石さんいつもありがとう。

3月 動作試験。PSL試験はできないものの概ね良好な結果で観測には支障がないと判断

4月 パッキングを始める。パッキングに当たって、これまで、気になっていたけど手を入れることができなかった点について確認をすることとする。3月末に帰国した南極観測隊の隊員から、OPCゾンデについて厳しいお言葉をいただいたのもそのきっかけのひとつです。

  まず、ラジオゾンデのデータ送信電波の信号系への干渉ノイズの対策のためのシールドの仕方。アルミの袋に入れるという方法だが、これが結構面倒。発泡スチロールケースの内面にアルミ耐熱テープを張り詰めることで同等以上の効果と、観測準備の単純化を図りたい。結果は、良好な様である。

  検出器のプリアンプからの信号ケーブルの接触がいつも問題になる。コネクタ部を触ってみるとやはりかなりセンシティブ。後々のトラブルがいやなので、コネクタをはずして信号線を基板コネクタに直接半田付けする。

 

 気象研の酒井さんとOPCゾンデの非球形粒子応答についてやり取りをしていたら、これまで応答計算に使っていた光学系の数値(集光角)に誤りがあることが判明!

 過去10年に及ぶ誤解!

 応答計算とOPCの敷居粒径評価を再度やり直すこととした。

 

5月 GI/IARCは空港のすぐ近く。着陸の際の進入経路のすぐ脇にある。OPCゾンデ放球に関するFAAの許可を取らなくてはいけない。GIprogram managerと打ち合わせをしておいたが、手続きは進めてくれていなかった。あわてて、あれこれ情報収集と手続きを始める。はじめは、2週間以上かかるとか、アンカレッジの空港と連絡を取らんといけないとか、かなり厄介そうであったが、最終的には、PACDEXの計画にあわせて5月はじめには放球できるよう許可をとることができた。一度許可を取ってしまえば、あとは、「あの時と同じです」といえば簡単にファックスと電話で許可をもらえるようになった。今後の観測のいい勉強になった。

 

いよいよPACDEX開始。こちらも毎日PACDEXの飛行計画と黄砂の飛来予測とにらめっこ。毎日、空港に「今日はキャンセル。明日に延期」と電話連絡

 

5月末

 結局PACDEXの飛行機はフェアバンクスには飛来することなくPACDEXは終了した。今年は、フェアバンクス上空への黄砂の飛来は少なかったか?

となれば、飛行機とは無関係にライダーとの同時観測のみ追及。

しかし、やはり、顕著な黄砂はやってこない

 

6月前半

やはり黄砂は来ない。NAAPSモデルを見ていると5月末から6月は顕著なダスト飛来はなくても定常的に弱いダストがアラスカ上空を覆っているかもしれない。これも面白そうであるが、とりあえず、狙いを黄砂から森林火災に移してみることとする。

 

あわせて、時間があるので、OPCゾンデに対するデータ送信・気象データ観測につかっている気象ゾンデの電波干渉について、実験をしてみることとする。これまでは、木の棒で70cmくらい横に放して電波干渉によるノイズを避けていた。ただ、これは、放球上の安全確保からするとできればすぐ横に貼り付けたほうがいい。すぐ横に貼り付けて電波干渉を避けることができるか?電波シールドをアルミの袋からアルミテープに変えたこともあり、きちんと実験して、今後のゾンデ観測スタイルを検討した。

結果としては、12cm程度の発泡スチロールブロックを間に挟んだ状態で、ノイズが乗らないこと(詳細は別途)が確認できた。これは、朗報である。また、放球直前に電波が出ている状態で変に調整しない方がいいことも確認された。放球が楽になる!!(これまでの直前の確認は、かえってやらない方が良かったのかもしれない、というのはちょっとショックだったが)

 

6月後半

今年は、6月の雨が多い。南の方のKenai半島では大規模な森林火災が問題となっているが、フェアバンクス周辺は静かなものである。7月になれば状況は変わるか?帰国も近づいたので、7月、8月のさまざまな予定と考え合わせながら、今後のスケジュールを検討する。